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し変わった表情で50のお題1〜10*


    
 
1:本気で怒る 

 
 

「僕がキラだったなら、もっと効果的にLを排除する方法を考えるよ」

丸められた背中に向かって戯れに言葉を紡ぐ。

「本人を殺すよりも、本人の大事なものを奪えばいい。戦意を失えばLと言えど役に立たないだろうからね」


「そう例えば、ワタリとか、ね」


ぴくりと跳ね上がった肩に密やかに笑う。
振り向いた彼は鋭い眼差しで僕を貫いてくる。

「私が。それで負けてしまうような人間だと思っているのですか」

「さあ?人間なんて案外脆いものだからね?」


そう。今君が剥き出しにしている感情の起源が。
自身を侮辱された事にかかっているのか、それともワタリの身に及ぶ危険にかかっているのか。

自分でも分かっていないようにね?

 
   

2:祈る 

 
 
祈りは 希望

祈りは 歌

祈りは 光


僕は知っている。
それが愚かな人間によって彩られた虚像である事を。

神は決して万能では無い。

祈りを捧げるべき神こそが。
完全たらんともがき続けているのだから。


祈りは 絶望

祈りは 呪

祈りは 闇


僕は知っているんだ。
だって、ほら。どれだけ祈り続けても。




君の瞳は開かない。

 
   

3:明らかな動揺 

 
 
いつもPC越しで捜査本部には滅多に顔を出さないワタリが、珍しく足を運んできた。
いつも通り穏やかな表情。

でも何故か今日は僕が挨拶をしても黙って通り過ぎてしまう。
首を傾げる僕を尻目に、ワタリは真っ直ぐに竜崎の元へと向かって行った。

・・・?どうしたんだろう?



「竜崎。明日までは手を付けないで下さいとお願いしたスウィーツが無くなっているんですが、ご存じないですか?」
「・・・・・・・し、らない」



静かな問い掛けに背を向けたまま否定した竜崎は、でも僕でも分かるほどに肩を揺らして。
「相沢さん・・・あれってバレバレですよね?」
「ああ。お前や俺でも分かるのにワタリに分からないはずがないだろう?」
もちろんその言葉通り、ワタリにも直ぐに分かったらしい。
周りの空気が冷えたと感じたのは僕の気のせいじゃないはずだ。

「お願いしましたでしょう?竜崎?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・しましたでしょう?」

その時僕は確かに見た。
二人の背後に睨みつける虎と怯える兎の姿を。


「・・・・・・・・・・・・・・・・すまなかった・・・・・・・・」


小さな竜崎に謝罪で漸く空気が緩み、ワタリは「お騒がせしました」と一礼して出て行く。
扉が閉まると同時に、いかにも安堵したような溜息が聞こえて、僕と相沢さんはとうとう我慢出来ずに大声で笑った。

「世界のLともあろう者が、そこまで動揺するなんて情けない」

からかうように告げた相沢さんの言葉に、竜崎はふいと顔を逸らして膝を抱えた。
そして小さな小さな声で呟く。

「あなた方はワタリが本気で怒った時の怖さを知らないんですよ・・・」

ぶるりと身体を震わせて仕事に戻った竜崎の背を見つめながら、僕達は顔を見合わせて首を傾げる。

「ワタリってどれだけ凄いんだ・・・?」

それ以上竜崎は答えてはくれなかった。



結局、それは僕と相沢さんの永遠の謎となっているのだ。

 
   

4:不機嫌 

 
 
「だからスミマセンでしたってばー竜崎〜。許してくださいよ〜・・・」
「嫌ですお断りです許しません」


「・・・・・何してるんだ、二人とも。松田さん、また必要書類をシュレッダーにかけたんですか?」
「またって・・・月君・・・・ひどいよ・・・」
「もっと重大な事です信じられませんありえないです」
「はぁ・・・だから何なんだよ、竜崎」



「松田さんったら頼んだスウィーツを買ってくるのを忘れたんですよ!!」



「だから明日買ってきますってば〜!」
「ああ・・・・そりゃ松田さんがいけないですよ?」
「月君まで!大体書類の時より怒ってるって変じゃないですか!」
「変じゃないですよ。私一度読んだものなら覚えてますから。けれどスウィーツは今日買って来ないと食べられないんですよ!?」
「そうだよね。僕も覚えてるから書類に関しては別に・・・」
「そうでしょ?だから私は今日は機嫌が悪いんです最悪です最低です松田さん」
「・・・・・・・・」


(天才なんて大っ嫌いだ・・・・・)

 
   

5:悪戯な笑み 

 
 
「月君月君」

彼が2回続けて名前を呼ぶ時は要注意だ。
何故なら。

「ちょっとお伺いしたい事があるんですが」
「・・・・・何?」

こういう時の彼は、何か良からぬ事を考えている可能性が高いからだ。

「月君は私のこと、好きですか?」

・・・・・・こんな風に。


「・・・・いきなり何なんだよ」
「いえ。私、両想いってモノに憧れてまして。月君が私を好きなら両想いだなーと」
「・・・・・・・・・・・・・は?」

両想いって普通恋愛が絡んだ時に使われる言葉で恋愛ってものは普通男女間で発生するものであってそもそも僕達は男同士であって・・・・

ああいや、そんな事はどうでもいい。
僕が何だって?竜崎を好きなら両想いだって?
それはつまり竜崎が僕の事を好きだってことになるんだよな?
この猫背でパンダみたいな目をしてて嘘吐きで負けず嫌いな男が?
甘党で幸せそうにお菓子を食べてるとやたらと可愛いっていうか上目遣いは心拍数が上がるから止めて欲しいとか爪を齧る癖はどうしても唇に目が行くから勘弁して欲しいとかええっと・・・・あれ?

頬が熱くなってきたのは何でだろう?
僕は・・・僕はまさか・・・・。

「りゅ・・竜崎・・・」
「なーんて。ちょっとした冗談です」
「・・・・・・・・・・は?」

2回目の間抜けな声を上げた僕を。
彼は大きな瞳を数回瞬きして覗き込むと、見たこともないような笑みを浮かべて口を開いた。

「月君月君」

彼が2回続けて名前を呼ぶ時は要注意だ。
それを分かっていた筈なのに。

「本気にしました?」
「・・・・うるさいな、もう」

ああ。
この頬の熱を今すぐ冷ましてくれるなら。
僕は猫にだって跪くのに。

 
   

6:目を丸くする 

 
 
「本気にしたって言ったら・・・どうするの?」


僕は負けず嫌いな所がある。
それを自分で否定するほど幼稚ではないつもりで。

ああ。こうやってむきになるって事は幼稚なのかな。

「・・・・・はい?」
「だから。本気にしたって言ったらどうするの?」

訝しげに振り向いた竜崎にぎりぎりまで顔を近付けて繰り返す。
よく見るとぼさぼさの髪は意外と柔らかそうで。
肌も綺麗なんだな、とどうでも良い事を考える。

「僕は竜崎が好きだよ。・・・・両想い。憧れてたんでしょ?」

言いながら軽く竜崎の髪に触れてみる。
それは予想通り柔らかくて、気持ち良かった。

「ら、いと君?」

元々丸い瞳は更に丸く見開かれて。

「・・・・・・・・・ぷっ」

とうとう僕は我慢出来ずに吹き出してしまった。
笑い続ける僕に満月の瞳はあっという間に半月へと変わっていく。

「・・・・からかいましたね」
「一回は一回なんだろ?」

じっとりと見上げてくる竜崎にそう返すと
彼は不貞腐れたようにモニターへと向き直ってしまった。

僕と同じ位、幼稚で負けず嫌いな彼は
近い内に何かしら仕返しをしてくるだろうと。

想像して僕はまた一人で笑い続けた。


 
   

7.寝起き最悪 
   
「おはようございます!!」

晴れ渡った清々しい朝。
今日も元気に扉を開くと、そこには外とは似ても似つかないどんよりとした空気が漂っていた。

何時もより濃い隈に縁取られた目は半分閉じかかっていて(怖い)
ぼさぼさの髪は更に酷い事になっていて(それでも艶々なのが小憎らしい)
シャツに手を突っ込んで腹を掻いたりして(オヤジ臭い)
もう最悪だ。

でも何故かそれも可愛く見えたりもして
僕は少し困ってみたりもする。
まぁそれはそれとして、仮にも上司なのだから挨拶はきちんとしないと!

「おはようございます!竜崎!」

「・・・・・・・・・・おはようございます。朝から鬱陶しいテンションですね、松田さん」

・・・・・彼と違って大人な僕は、これ位ではへこたれない。
今日も頑張りましょう!ととびっきりの笑顔を見せてデスクへと向かう。


そう。僕は彼と違って大人だから。

竜崎の寝起きは最悪だから、次からはもう少し遅く出て来ようなんて思った事
口には出さないんだ。
うん。



「・・・・・・・・・・かわりに顔に出てますよ、松田さん」



あれ?

 
   

8.泣くのを堪える 
   
貴方に。

伝えたい言葉が沢山あった。
伝えていない言葉が沢山あった。

どうしてだろう。
貴方にならいつでも言えると思っていたんだ。


例えば。

お疲れ様 とか。
ありがとう とか。
愛している とか。


――――ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。


これは罰だ。
伝える事に怠慢だった私への。

だから。
悲しみを癒す為の涙は流さない。

全ての痛みを飲み込んで
最期の時まで歩み続けると


誓おう。

 
   

9.自嘲する 
   
『月君。そっちじゃないです』

『月君月君。そっちじゃ、ないんですよ』


何度も 何度も
呼びかけても、彼は止まらず
もう、声も手も届かない。

やがて生まれてしまった、完全で不完全な神。


私の言葉は こんなにも無力だっただろうか。
私の声は こんなにも響かないものだっただろうか。


罪を犯した者を救うのではなく、導くのでもなく
裁きのみを与えてきた結果が これなのか。


露呈した自分の愚かさに
口元が醜く歪むのを


押さえる事が 出来ない。

 
   

10.見下す 
   
「松田の馬鹿」

ぼそりと呟かれた言葉に
曖昧に笑ってお茶を濁す。

竜崎が直接罵るのは僕に対してだけで、時々皆が心配してくれるけど
僕は全然平気なんだ。

だってそれは竜崎が
僕に真っ直ぐに向き合ってくれているって事なわけで。
それがちょっと嬉しかったりもする。

ねえ竜崎。
そうですよね?

振り向いて問うと
竜崎は僕を見上げながら見下すという
酷く器用な表情を見せた。

「本当に松田さんは馬鹿ですね」

これは呆れ半分、照れ半分といった所だろう。
うん。


・・・・・・・・多分。